令和6年 第1回(3月)定例会 代表質問(令和6年2月28日)
前ページへ
財政運営について(市長答弁)

Q(質問)
 当初予算編成では、ビルド&スクラップと連動した予算要求の新ルールを導入した上で事務事業の見直しを行ったとのことだが、ビルド&スクラップが見合ったものになっているのかを含め、更なる取り組みが必要ではないか。義務的経費は6割を占めるなど財政の硬直化が進んでおり、加えて、大型事業が想定されていることから今後の財政運営について心配する。
 歳出予算の抑制のみならず、我が会派からの要望書のとおり新たな財源確保策など歳入を増やす取り組みを積極的に進めるべき。 今後の本市の財政運営についての決意はどうか。

A(答弁)
 歳出面では、ビルド&スクラップを徹底しながら、質の高い計画的な予算編成を行った。事業の優先度を踏まえた予算の重点化や効果検証を踏まえて事業の見直しなどをさらに徹底していく必要がある。
 歳入面では、市税収入は増加しているが、宿泊税などの新税創設の検討や私有財産の売却など歳入確保の取り組みも必要である。
 歳出・歳入面における不断の取組みを通じて「上質な生活都市」の実現に向けた将来の投資を行いつつ、将来にわたって健全な財政運営が出来るよう、その両立を目指して全力で取り組む。


庁舎建設問題について(市長答弁)


 有識者会議に本県をよく理解している有識者は入っていないし、耐震性能分科会の会議内容は現在も公開されていない。合併推進債の元金と利息の6割返済は市の財政を圧迫する。
 建替えを推進するのなら、市民に丁寧な説明をして理解に導いていき、「建て替えよう」という市民が増えていく努力をすべきである。
 大事業を進める際には、市民、議員に対して説明を尽くし、オープンな場で議論を行っていくことが必要である。
 今後、本市の施策を進めるにあたっての議会に対する必要な情報の開示や丁寧な説明など市政運営に対する考え方と庁舎建て替え事業推進のための説明責任を果たす具体的方策はどうか。


 事業を進めるにあたっては、市議会はもとより、市民の理解を得られるよう積極的な情報提供と分かりやすく丁寧な説明に努め、広く意見を伺いながら進めていくことが大変重要である。
 市議会における説明や議論をはじめ、「市長とドンドン語ろう」や市民アンケートの実施などさまざまな機会を捉えて検討してきた。市民アンケートでは建て替えについての理解が確実に広がっている。今後更にシンポジウムやワークショップ、市民説明会などさまざまな手法により市民への情報提供・合意形成に積極的に取り組む。


人口減少を直視した本市の将来像について(市長答弁)


 2050年(令和32年)には、本市の人口は約65万人に減少すると推計されている。人口減少という現実を直視した「まちづくり」に努めるべきであり、これからの各分野の計画策定が重要である。
 本市には、コンパクトで持続可能な「多核連携都市」を将来像とした「都市マスタープラン」があり、マスタープラン実現のための具体的な計画として「立地適正化計画」が策定され、中心市街地と15の地域拠点などを位置付けた。
 しかし、これらの誘導施策が機能しているのか見えてこないし、TSMCの進出に伴い必要な都市機能も変化するので、現在の地域拠点の見直しも必要ではないか。
 現行の「第2次熊本市都市マスタープラン」や「立地適正化計画」を振り返っての成果や課題、また、それらを踏まえた次期計画策定の方向性についてはどうか。


 本市では、中心市街地や15の地域拠点の都市機能を維持・確保し公共交通沿線の人口密度が維持された「多核連携都市」を都市構造の将来像としている。
 これまで公共交通ネットワークの充実などを進め、居住誘導区域の人口密度は目標値以上を維持している。一方、空き家や低未利用地の発生、地域コミュニティの衰退や半導体関連企業の進出等に伴う課題も生じてきた。
 これらを踏まえ、用途地域や地区計画制度等の見直しによる拠点性向上や地域コミュニティの維持、空き家等の既存ストックの活用、産業系土地利用の適切な誘導など地域の課題や社会情勢の変化に柔軟に対応したものとなるよう検討し、「多核連携都市」の実現に繋げる。


TSMC進出に伴う課題と対策について
  TSMCの第2工場の菊陽町建設を歓迎するが、新たな課題もあり将来に禍根を残さないよう全力で課題解決に取り組むことが必要である。
産業用地周辺の道路整備について(担当局長答弁)

Q1
(妙見川沿いの道路整備)
 令和4年度に地元住民から産業用地整備予定地周辺の「妙見川沿いに本格的な道路整備を」との市長陳情が実施された。本路線が整備されれば酪農経営、空港へのアクセス、産業用地の整備に役立つ。 民間による用地買収が進む中、道路整備を急ぐ必要があるが整備方針はどうか。


Q2
(県道辛川鹿本線整備)
 辛川鹿本線が整備されれば、渋滞の解消、物流の促進、本市への関 連企業の進出意欲が増大する。本路線は令和5年6月県議会一般質問で整備促進について議論され、県の事業分(菊陽町)は6年度に用地買収にかかる計画になっている。 県とよく協議して、早急に整備すべきであるが整備方針はどうか。



 国道443号と通称第1空港線エリアは、さらに交通量増加が見込まれることからセミコンテクノパーク、空港、縦貫道等とのアクセス機能強化が重要である。
(妙見川沿いの道路整備)
 将来交通量推計調査等から第1空港線の負荷軽減としての代替候補路線を調査中であるが、妙見川沿い道路も有効な候補路線の一つと認識していることから、更に検討を深める。
(県道辛川鹿本線)
 本路線は、道明交差点を十字交差点に改良し通称国体道路まで一部バイパスとして整備する計画である。事業区間が菊陽町に及ぶことから、県と連携し早期整備に向け道路構造や交差点設計に取り組んでおり、用地取得を進め、速やかな工事着手に繋げる。


地下水の保全について(市長答弁)


 環境保全と経済発展が両立できる政策を展開することが行政の責務である。本市など、いわゆる熊本地域の住民100万人は一つの地下水盆を共有している。我々には豊かな地下水を子々孫々まで引き継ぐ責任がある。見直し後の「地下水保全対策指針」のかん養量はどれ位必要なのか市民の関心は大きい。
 地下水保全対策の展開についての決意はどうか。

 次に、県の地下水保全条例の「地下水採取に伴う障害」の一つに地下水の塩水化がある。20年か30年前に熊本地域の塩水域が市の中心部に向かっているとのテレビの特集番組があった。
 熊本地域の淡水域(飲み水に適)と塩水域(飲み水に不適)の状況についての認識はどうか。



 「次期地下水保全プラン」については、採取量とかん養量の収支バランスを考慮しながら、県や熊本地域11市町村と協議する。清れつで豊富な地下水を次世代に伝えることは我々の責務であり、全力で取り組む。
 地下水の塩水化については、平成元年度からの定点観測井戸の調査結果では塩化物イオン濃度の上昇は認められない。塩水化が発生しないよう地下水の水質に注視するとともに大規模採取者には、 採取量の削減、水循環率の向上や節水などを強力に働きかけ、清らかな地下水を守る。


熊本市生涯スポーツマスタープランについて(担当局長答弁)


 スポーツは人生100年時代の健康寿命の延伸に大変重要である。
今回策定する「生涯スポーツマスタープラン」の概要と計画の目指す姿などスポーツによるまちづくりに対する思いはどうか。
 次期計画策定にあたり、スポーツに関わる市民の声をどのように反映していくのか、また、「日本一のスポーツによるまちづくり」の気概を持って県や周辺自治体と連携協議していく考えはないか。



 スポーツ機会の充実をはじめ、競技力の向上やスポーツコンベンションの推進、施設の機能充実など生涯スポーツの推進に取り組んできた
次期計画も、市民がスポーツを通じて健康で生きがいを持ち、豊かな人生を送ることが出来る計画となるよう有識者や競技団体、校区スポーツ協会など 関係団体からの意見はもとより、市民アンケート調査等幅広く意見を伺いながら策定に取り組む。
  また、県や民間が本市に新たな施設を計画する際には、連携し可能な限り支援・協力を行う。


指定難病対策について(市長答弁)


 難病のうち、診断基準がハッキリしているものを「指定難病」として医療費の助成等が行われており338の疾患が指定されている。
本市の指定難病患者は、令和5年3月現在6837名いて、本市人口を74万人として人口1000人に約9人位の方が闘病生活を送っている。
 指定難病の患者と家族や医療関係者に直面している課題などについて尋ねたところ、
@一日も早い治療方法の確立
A難病患者団体の充実等への行政のサポート
B継続して就労できるようハローワークのサポートシステムの強化
C指定難病を発症したと推測される時期からの医療費補助の支給の大きく4点の要望があった。
 治療方法の研究などは市の能力や権限は及ばないが、市も関係者と一緒になって制度改正等の旗振り役をしてもらえたらとの切実な願いであった。
 それらのことを全国市長会議要望事項等に書き加えてほしい。
 難病対策についての市長の認識はどうか。



 平成27年施行の難病法に基づき、疾病の原因究明や治療方法の確立に向けた研究など幅広い難病対策の推進が図られている。
 本市でも、医療費助成をはじめ、在宅支援等の療養生活支援、ガイドブックの作成、診断書のオンライン化等に取り組んでいる。
 今後も、患者団体、医療関係者、ハローワーク等で構成する地域協議会等で患者等の様々な課題の把握や全国市長会等を通じた国への要望を積極的に行いながら、難病患者や家族が安心して生活できるよう支援していく。